奥久慈茶

  • 630円(内税)
内容量 50g 茨城県大子町産

 小室栄寿さんが栽培・製造したお茶です。小室さんは全国手もみ茶品評会で農林水産大臣賞を受賞した生産家です。約20年前、私がお茶の手揉み製法を勉強し始めた時通ったのが、大子町の奥久慈茶の里公園でした。主に観光シーズンにやっていた手揉みの実演に参加したのです。その時の先生の1人が栄寿さんのお父さんの小室周平さんでした。(周平さんも農林水産大臣賞を2回取っています。)周平さんの手使いはとても柔らかで、私の手揉みについてのイメージの原点になっています。飄々として、お茶仙人とでもいうような風格がありました。それでは小室栄寿さんはどうでしょうか。私には栄寿さんはお茶に関するセンスの固まりのように思えます。お茶の生産農家に生まれ、生まれた時からお茶の中で育ったということもあるでしょうが、それだけではない持って生まれた感覚があるように感じます。
 小室栄寿さんの作ったお茶を飲むと、小室さん本人の姿が浮かんできます。お茶の個性としてその地方の風土、土や気候や空気といったものに加え、生産者の持っている人間性といったものも影響を及ぼす気がします。味としては甘味・旨味を含んだしっかりとした味という表現になりますが、その奥に小室さんのいいお茶を作ろうという情熱と職人気質といったものを感じる訳です。お茶のタイプで言うと、業界では形状のお茶とか山のお茶とかいう普通蒸しのお茶です。深蒸し茶は色が濃い緑色に出て味も濃い感じになりますが、奥久慈茶は昔からのタイプのお茶で色は山吹色、味はすっきりしています。奥久慈茶に限らず、特に普通蒸しのお茶を味わう場合、風土、生産者、またその年の気候の影響を考える必要があります。農産物は何でもそうでしょうが、全く同じ手入れをしてもその年の天候によって品質が違ってしまい、日本茶のように繊細な嗜好品については特にそれが当てはまります。今よく言われているシングルオリジンについては常にそのリスクがあります。私は小室さんのお茶をそのリスクを承知した上でおすすめする訳です。
 
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