京番茶

  • 324円(内税)
 京番茶ってどういうお茶?という疑問には、まず番茶とは何かという事を説明する必要があります。実は番茶という言葉で、全く異なる2つの種類のお茶を意味しています。1つは煎茶の中でもかなり低価格のお茶という意味合いのお茶でしょう。お茶の季節は、地方によって違いますが大体4月に始まります。最初に摘むお茶が1番茶で、味も良く値段も高いのが普通です。その後6月の2番茶、そして3番茶を摘むところもあります。お茶摘みを機械でやる場合、摘む面を揃えるためにお茶摘みとお茶摘みの間に整枝という作業をします。整枝というのはお茶の葉を刈り取る訳ですが、刈り取ったお茶の葉が大きさが揃っていなくても少し伸びすぎていてもそれでお茶は作れる訳です。そうやって作ったお茶を番茶と言っています。その他年間の栽培の作業の中で秋整枝や春整枝という事もやります。その時の刈り取った葉も番茶になります。整枝で刈り取った葉がもったいないから作る訳ですから、最初から美味しいお茶というのはあまり目指してはいませんね。だから値段が安いんですが、でも熱いお湯でさっと淹れるとさっぱりとした味で美味しく飲めます。それにカフェインが少ないですから、体に対する刺激を避けたい方にはいいと思います。
 それでは全く異なる2つの種類の番茶のうち、もう一つの方の番茶はどういうお茶なんでしょうか。お茶は奈良時代には唐から伝わってきたと言われています。始めの頃の飲み方というのは、茶研で細かい粒状にしたお茶を沸騰したお湯に入れ煎じて飲んでいました。その後抹茶が伝わり日本的な茶の湯として大成します。明になると釜炒り茶が普及し日本にも入ってきます。釜炒り茶は釜で炒った後、揉みながら熱を加えて水分を飛ばし、お湯の中で成分が良く出るようにしたお茶です。そうすると蒸してから揉むお茶を作る人も出てきますね。蒸すのは日本でそれまでやっていたやり方ですが、釜で炒るのとは全く味わいが違います。また日持ちを良くするため最後に乾燥させるのにも、焙じたり日に干したり色々なやり方があります。変わったやり方では、漬物のようにお茶を発酵させる場合もあります。要するに作り方は、何でもあり、その地方その人によって違う、でも普通の人たちが普段の生活で飲む日常的なお茶だと言えます。そして京番茶はもちろんこちらの方の番茶に入ります。京都はお茶の産地としては碾茶や玉露の生産が多いことが特徴です。高級茶の産地ですが、手入れの一つとして整枝をします。その整枝をしたお茶の葉を蒸した後、揉まずに日光で乾かし最後に軽く焙じて作ります。揉んでいないという事はお湯に入れても味がすぐには出てこないということです。ですから飲み方は自由。決して湯冷ましなんかしません。普通に急須で飲んでもいいし、やかんで煮出してもいい。夏には煮出した京番茶を冷やして冷茶にしても美味しいです。要するに京番茶も含めて番茶というのは、シナ大陸から伝わってきたお茶が時間をかけて庶民の中に根付いていった食文化そのものと言っていいかもしれません。

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